「うちは残業ないから」、本当に残業ないですか?
- hi-perda
- 9 分前
- 読了時間: 4分
こんな方に読んでほしい!
◎静岡市近郊で営業中
◎従業員数51名以上
◎活気ある職場づくりを通して業績アップにつなげたい
◎ご年齢が30-50代の代表者様
◎タイムカードや出勤簿がない
こんにちは。社会保険労務士の杉浦です。
「うちは残業なんてないよ」——中小企業の経営者の方から、よくこうした言葉を耳にします。確かに、日々の業務をこなしている中では、残業があまりないように見えるかもしれません。
しかし、労働時間は“気持ち”ではなく、“実態”で判断されるものです。実際には、会社が残業と認識していなくても、法律の上では“残業扱い”になる働き方をしているケースが少なくありません。
今回は、そんな“気づかぬうちに残業”になっている事例をご紹介しながら、自社の働き方を見直すきっかけをお届けします。

■ そもそも「労働時間」とは?
「労働者が使用者の指揮命令下に置かれている時間」のこと ・使用者の明示または黙示の指示により業務に従事する時間 ・使用者の明示または黙示の指示に基づき、参加等が事実上強制されている時間 ※労働時間に該当するか否かは、労働者の行為が使用者の指揮命令下に置かれたものと判断できるか否かによって、客観的に決まる。
です。労働者が会社の指示で働く義務のある時間を指します。つまり、「働け」と言われていなくても、会社のために動いている時間は労働時間とみなされることがあるのです。
■ 典型的な「気づかぬ残業」事例3選
① 朝の“会社集合”時間
建設業などでよくあるのが、「現場へ向かうために、まず会社に集合する」というパターンです。
たとえば、朝6時に会社集合 → 現場へ出発 → 8時から現場作業開始、という流れだったとします。
この場合、朝6時の集合時点から労働時間がスタートしていると考えられます。なぜなら、会社の指示で動いている時間だからです。
もしこれを「うちは8時始業だから、6時の集合時間は労働時間じゃない」としていれば、未払いの残業代が発生している可能性があります。
現場への“直行直帰”は検討できませんか?
② “丸め”による出退勤処理
出退勤時間を「15分単位で切り捨ててる」「30分未満はカウントしない」というような、独自の“丸めルール”を導入している会社もあります。
たとえば、社員が17:44に退勤したとき、「17:30までだったことにしよう」と会社側がまとめて処理するケース。
原則は“1分単位”での労働時間管理が必要です。
厚生労働省も、「1日8時間・週40時間を超える労働については、1分単位で割増賃金を支払う必要がある」と明言しています。
丸め処理をしている皆様は、改めてそのルールが法的に問題ないかを確認しましょう。
③ 仕事の“準備や片付け”の時間
勤務時間外で、制服に着替えたり、道具の準備や片付けをしたりしていませんか?
例えば、始業時間は9時なのに、「8時半には来て、着替えて準備しておいてね」と言われていたとしたら、その30分は労働時間とみなされる可能性があります。
また、終業後も「データの整理だけ頼むよ」といった形で10〜15分程度働かせるのも、積み重なれば残業になりえます。
業務前後の準備や片付けの時間も記録に残し、必要に応じて労働時間に加えることが大切です。
■ まずは「正しく計ること」から始めよう
「うちは残業がない」と自信を持って言うためには、まず実際の労働時間を正確に“見える化”することが第一歩です。
おすすめの手段は:
タイムカードの導入
クラウド勤怠システムの活用(スマホやパソコンからも打刻可)
日報などでの勤務実態の記録
働いた時間が見えないままでは、法令違反に気づくこともできません。もし労働時間を計る手段を何も持っていらっしゃらない会社様は、まずは日報レベルで始めてみることをお勧めいたします。
■ 残業の“つもり”ではなく、事実で判断しよう
「残業してるつもりはない」「みんな自発的にやってくれてる」「昔からこのやり方でやってる」
このような感覚的な判断では、社員とのトラブルや労基署からの指摘を受けるリスクがあります。
大切なのは、“事実”として労働時間を捉え、法律に沿って正しく管理することです。
「うちは残業ないから」と言い切ってしまう前に、自社の働き方を今一度、法的な視点で見直してみませんか?
見えない残業を見える化することが、トラブル予防にも、社員との信頼関係づくりにもつながります。
働き方のご相談は、お近くの社会保険労務士にお尋ねください。
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