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熱中症対策が義務化されました_20250601より

こんな方に読んでほしい!

◎静岡市近郊で営業中

◎従業員数51名以上

◎活気ある職場づくりを通して業績アップにつなげたい

◎ご年齢が30-50代の代表者様

◎屋外作業の業務がある皆様


こんにちは。社会保険労務士の杉浦です。


夏の職場といえば、暑さ対策が欠かせませんよね。実は、令和7年6月1日(2025年6月1日)から、職場の熱中症対策が罰則付きで義務化されることになりました。

今回の改正は、働く人の命を守るために、特に「初期症状の放置や対応の遅れ」を防ぐための具体的なルールが追加されたんです。


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なぜ今、職場の熱中症対策が強化されるの?


近年、夏の気温が異常に高い日が増えていて、それに伴い職場で熱中症になる人が増えています。2022年からの3年間で、なんと毎年30人以上の方が熱中症で亡くなっているという悲しいデータもあります。

そして、熱中症で亡くなってしまう原因の多くは、「初期症状に気づかなかった」り、「対応が遅れてしまった」ことにあるんです。例えば、めまいや吐き気などの初期症状が出ても、「これくらいなら大丈夫」と我慢してしまい、症状が重くなってしまうケースが多いんですね。

だからこそ、政府は、働く人の命を確実に守るために、熱中症のサインに早く気づき、すぐに対応するためのルールを「義務」として定めたんです。


どんな職場で対策が必要になるの?


今回の義務化の対象となるのは、暑さ指数(WBGT値)が28度以上、または気温が31度以上の環境で、「1時間以上連続」または「1日4時間以上」作業を行うことが予想される場所です。

これは、直射日光が当たる屋外だけでなく、工場や倉庫、イベント会場など、空調が効きにくく高温になりやすい屋内の作業場も含まれます。自分の会社が対象になるか、しっかりと確認しましょう。

また、このルールは、会社で働く「労働者」だけでなく、「同じ場所で働く労働者以外の全ての人(フリーランスや協力会社の人など)」も対象になります。みんなで協力して対策を進めることが大切です。


義務化される「3つのポイント」をチェック!


新しい熱中症対策の基本は、「見つける」「判断する」「対処する」の3ステップです。このうち、今回の改正で特に義務付けられるのは以下の2つの体制整備と、その「周知(みんなに伝えること)」です。


1. 報告体制の整備(「見つける」ための仕組み)

「あれ、いつもと様子が違うな」「なんだか調子がおかしいぞ」など、熱中症の自覚症状があった場合や、周りの人が誰かの異変に気づいたときに、すぐに報告できる仕組みを会社に作ることが義務付けられます。

  • 誰に報告すればいいか明確にする:作業場の責任者や担当部署の連絡先(電話番号、メールアドレスなど)を決め、いつでも報告できる状態にしておきましょう。休憩室などに掲示するのも良い方法です.

  • 積極的に異変を見つける工夫:自分では気づかない初期症状もあります。そのため、ただ報告を待つだけでなく、以下のような方法で積極的に異変を見つけることが推奨されています。これからの夏場の仕事は、1人だけでやらせることは避けた方が良いのでしょうね。

    • 職場巡視:責任者が作業現場をこまめに見て回る。

    • バディ制:二人一組で作業を行い、お互いの健康状態を確認し合う。

    • ウェアラブルデバイスの活用:心拍数や体温などを測れる機器を使って、熱中症のリスクを管理する。


2. 実施手順の作成(「判断する」「対処する」ための具体的な方法)

熱中症の疑いがある人を見つけた時に、「どうすればいいんだろう…」と迷わず、迅速に適切な対応ができるように、具体的な手順を事前に決めておくことが義務付けられます。

具体的な手順の例は以下の通りです。

  • 作業場所から離れ、涼しい場所へ移動させる(作業離脱)

  • 身体を冷やす(身体冷却):服を緩めたり、水をかけたり、氷や冷たいタオルで首、脇の下、足の付け根などを冷やす.

  • 意識がある場合は、水分と塩分を摂らせる:スポーツドリンクや経口補水液などがおすすめです.

  • 意識がない、呼びかけに反応しない、返事がおかしい、けいれんしているなど症状が重そうなら、すぐに救急車(119番)を要請する

  • 救急車を呼ぶべきか迷ったら、「#7119(救急安心センター事業)」に電話して相談することもできます。

  • 医療機関に搬送するまでの間や、経過観察中も、熱中症の疑いがある人を決して一人にしないことが重要です。

  • 回復した後も、体調が急変するケースがあるので、回復後の連絡体制や対応(本人や家族への連絡、事業者からの様子確認など)も事前に決めておきましょう。


3. 関係者への周知

作成した「報告体制」と「実施手順」は、職場で働く全ての人に確実に伝えることが義務付けられます。 文書を配ったり、メールで送ったり、朝礼で説明したり、作業場や休憩室に掲示するなど、いつでも内容を確認できるように工夫しましょう。


中小企業がさらにできること(予防も重要!)

上記の義務化された対策に加えて、日頃からの予防対策も非常に重要です。

  • 作業環境の管理

    • 休憩場所は、直射日光が当たらず、冷房やミストファンなどで涼しく保たれた場所にしましょう。足を伸ばして横になれる広さがあると、より良いです

    • 冷たい飲み物や冷却材(氷、冷たいおしぼりなど)、塩分補給できるものも用意しておきましょう

  • 作業管理

    • 暑い時間帯の作業を避けたり、こまめに休憩時間を設けたりして、連続して作業を行う時間を短くする工夫をしましょう

    • 暑さに体を慣らす「暑熱順化(しょねつじゅんか)」のための期間を設けることも大切です。特に、梅雨明けや久しぶりの暑い場所での作業では、計画的に体を慣らしましょう

    • 作業中は、自覚症状がなくても定期的に水分と塩分を摂るように指導し、確認しましょう

  • 健康管理

    • 作業を始める前に、働く人の睡眠時間や体調、朝食を摂ったかなどを確認しましょう

    • 持病がある人(糖尿病や高血圧など)は熱中症になりやすいので、主治医や産業医の意見を聞いて、作業内容や場所を配慮しましょう

    • 巡視中に声をかけたり、お互いに健康状態を確認し合うことで、異変に早く気づくことができます

  • 労働衛生教育

    • 熱中症の症状や予防方法、緊急時の応急処置について、管理する人も働く人も事前に教育を受けておくことが大切です

    • 作業日の暑さ指数がいくつなのか、出勤前に知れる状態にしておくのも良いでしょう。環境省LINEでは、お知らせをしてくれる機能もあります

まとめ

熱中症は、命に関わることもある非常に危険な労働災害です。令和7年6月1日からの義務化に向けて、中小企業の皆さんも、働く人の命を守るために、報告体制や実施手順をしっかりと整え、全員に周知することが求められます。

違和感を少しでも感じたら、作業を中断して休むことを「許せる」ことと「勇気をもって決断できる」こと。そんな環境づくりをしていきましょう。

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