教育指導に入る前に、その人の味方になろう
- hi-perda
- 9月15日
- 読了時間: 4分
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こんにちは。社会保険労務士の杉浦です。
会社や組織で人を育てるとき、多くの人が「正しく・厳しく指導しなければならない」と考えます。もちろん間違いをそのままにしておけば、本人のまっすぐな成長を妨げ、組織にも悪影響を及ぼすでしょう。だからこそ教育指導は大切。しかし、忘れてはいけないことがあります。それは――指導に入る前に、まずその人の味方になることです。

◎味方にならない指導は伝わらない
上司と部下、あるいは先輩と後輩の関係性ができていないうちに、いきなり「ここが間違っている」「君はこうしなければならない」と指導しても、多くの場合は相手に響きません。それどころか、防御反応を生んでしまい、逆効果になることさえあります。
なぜなら、人は「この人は自分の敵か味方か」を無意識に判断しているからです。味方だと感じられない人からの指摘は、正論であっても攻撃に聞こえてしまうのです。
◎指導が“私怨”に変わるとき
もっと悪い例は、「こいつはダメだから徹底的に言わないと」と敵視して教育に入ってしまうケースです。
この場合、指導は教育ではなく叱責になり、叱責はやがて私怨のようなものに変わっていきます。相手はますます心を閉ざし、組織からも距離を取るでしょう。
ここで生まれるのは「改善」ではなく「対立」です。本来、教育指導は組織を強くするためのものであるはずなのに、個人的な感情のぶつけ合いにすり替わってしまうのです。
◎味方であることを示す一歩
では、どうすれば「味方である」と相手に伝えられるでしょうか。方法は難しくありません。
例えば、相手のミスを指摘するとき、いきなり「違うよ」と言うのではなく、「なぜそう思ったのか、考えを聞かせてくれる?」と問いかけてみるのです。
この一言で、相手は「自分の意見を尊重してくれる人だ」と感じます。そしてその後に「なるほど、そう考えたんだね。でもこの場合はこうした方がもっと良いよ」と伝えれば、同じ指摘でも受け止め方がまったく違ってきます。
味方であることを示すとは、「あなたを否定しない」「あなたの背景を理解しようとしている」と態度で表すことなのです。
◎「あなたのために」は味方になってから
よくある言葉に「私はあなたのために言っている」というものがあります。これは教育者や上司(家でも良く聞きますね)が使いがちな言葉です。しかし、相手から「この人は敵だ」と思われている状態で口にすると、押し付けや自己正当化の言葉にしか聞こえません。
逆に、「この人は自分の味方だ」と信じられる関係性ができていれば、この言葉は相手の心に届きます。つまり「あなたのために」は、まず味方になってから使うべき言葉であると、考え方を再構築しましょう。
◎経営者にこそ問われる姿勢
経営者やリーダーは、多くの場合「結果を出すこと」に強い責任を持っています。そのため、どうしても教育指導においても「成果に直結するかどうか」に意識が向きがちです。もちろんそれは間違っていません。しかし、その成果を生み出すのは“人”であり、人は信頼関係なしに動かされるものではありません。
経営者として組織を強くするならば、まず「この会社は私の味方だ」と社員に思ってもらうことが大前提です。そうでなければ、いくら戦略を整えても、現場に浸透しないでしょう。
味方であることは、指導の出発点
教育指導は「欠点を直す作業」ではありません。むしろ「相手の成長を応援すること」です。その応援は、味方であると示すことから始まります。
相手の考えをまず聞く
否定ではなく理解を示す
「あなたのために」を信じてもらえる関係を築く
こうした積み重ねがあってこそ、指導は指導として機能するのです。
教育指導に入る前に、その人の味方になれるかどうか。これは一見小さなことですが、組織の未来を大きく左右する視点だといえるでしょう。
人を育てるとは、知識やスキルを渡すこと以上に、「信頼の橋」をかけることです。橋がかからないまま指導を始めても、声は届きません。まずは橋をつくること――つまり「味方である」と相手に伝えることから始めてみませんか?
教育指導の成否は、言葉の中身よりも、その言葉を受け取る心の準備ができているかどうかで決まります。その心を開かせる鍵は、味方であることを示す姿勢にあるのです。



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