”○○と○○の間”シリーズ②_AIによって仕事が奪われてしまう心配と、人口減による働き手不足の間
- hi-perda
- 1 日前
- 読了時間: 4分
こんな方に読んでほしい!
◎静岡市近郊で営業中
◎従業員数51名以上
◎活気ある職場づくりを通して業績アップにつなげたい
◎ご年齢が30-50代の代表者様
◎食事代や互助会費の控除をしている
こんにちは。社会保険労務士の杉浦です。今回は「“○○と○○の間”シリーズ」の第2回です。経営の現場でよく出てくる「どちらも大事だけれど、バランスが難しい」というテーマを掘り下げていきます。
第2回のテーマは、「AIによって仕事が奪われてしまう心配」と、「人口減による働き手不足の心配」の間についてです。
まず、「AIによって仕事が奪われる」って本当?
AIによる仕事の代替は、すでに現実のものとなりつつあります。
Forbesによれば、データ入力・スケジュール管理・カスタマーサービスなどの業務は、すでにAIツールによって置き換えられつつあるそうです。
経済誌などの報道では、製造業や運輸業、事務職など多数の職種がAIによって影響を受ける可能性が高いとされています。
実際、MITのNew Trader Uなどの分析では、製造業の従事者が2025年までに200万人失業する可能性, 300万人の雇用喪失とも言われていますが、一方で2030年までに新たに創出される職は170万人と見込む分析もあり、まさに「淘汰と創造の両面」が語られています。
だから、多くの人が「AIに仕事を奪われるかもしれない」と不安を感じているわけです。
一方で、人手不足も進んでいる現実
それにも関わらず、企業、特に中小零細企業においては「人が足りない」という問題も深刻になっています。
2025年6月の有効求人倍率は1.22倍で、求人が求職者を上回っています。
中小企業白書でも、中小企業の人手不足は構造的な問題で、人材の過不足状況においても不足と答えた企業が圧倒的多数です。
つまり、労働者にとっては(生業がなくなるという意味では会社もかもしれませんが)職がなくなる不安と、会社にとっては、雇いたくても雇えない不安が、同時に存在しているという不可思議な状況です。
この“間”にある違和感—どう折り合いをつけるか?
一見、矛盾して見える両者が併存しうる理由:
AIによって自動化された業務は減るものの、AI導入には運用・設計・人間の判断が不可欠で、新たな人材が必要になることもある。
また、人口減少により全体の労働力が減る中で、AIでは代替できない業務—例えば現場での手作業や対人サービス、柔軟な対応—には人的リソースが必要。
バランスをどう保つか?
この「消えるかもしれない職」と「採用できない現実」の“間”で、経営者の皆さまには次のような視点が求められます。
1. AIと人の協働を前提とした組織設計
AIに頼るべき業務と、人間が担うべき業務を見極め、AI導入は「人が活きるための補助」として活かす。
2. 包摂的な人材戦略
年齢や性別、国籍にこだわらず、多様な人々が働きやすい制度や職場づくりを進めることで、人手不足にも対応しやすくなる。 「会社にとって都合のいい人だけを採りたい」という考え方では、多様な人材を逃してしまいがち。年齢、性別、国籍、バックグラウンドに縛られない採用を意識すれば、採用の幅が大きく広がり、柔軟な体制が整う可能性がある。
3. スキルの再教育と育成
AI時代に適応できるスキル、たとえば対人力、創造力、倫理判断力を社員に育成することで、AI時代にも強い組織になることができます。
まとめ:「AIに仕事を奪われる」と「人が採れない」は同居しうる現実
人手不足だという悩みを良く聞きはするものの、他方でAIで仕事がなくなるという悩みもあって、それらが併存することは矛盾しないのだな、ということが分かりました。
社会保険労務士という仕事も、AIに取って代わられる業種としてよく言われますが、いわゆる人間力を磨いていくことで仕事を確保しつつ、楽できるところはAIの力を使って、より皆様のお力になれるところに人的資源を投入していけるようになりたいものです。
最後にこちらの曲を聞いてお別れです。
「間(あいだ)」の感覚を持ちながら、次回以降もいろいろなテーマを掘り下げていきましょう。
コメント