“○○と○○の間”シリーズ① ルールを見える化することと、マイクロマネジメントとの間
- hi-perda
- 7月25日
- 読了時間: 4分
こんな方に読んでほしい!
◎静岡市近郊で営業中
◎従業員数51名以上
◎活気ある職場づくりを通して業績アップにつなげたい
◎ご年齢が30-50代の代表者様
◎食事代や互助会費の控除をしている
こんにちは。社会保険労務士の杉浦です。今回から始まる「“○○と○○の間”シリーズ」では、経営の現場でよく出てくる「どちらも大事だけれど、バランスが難しい」というテーマを掘り下げていきます。
第1回のテーマは、「ルールを見える化すること」と「マイクロマネジメント」との間についてです。

ルールの見える化がもたらす安心感
会社を経営していると、「あの人はできるけど、この人はうまくいかない」「担当が変わったらトラブルが増えた」など、属人化の問題に直面することが多くなります。
そこで重要になるのが、ルールの見える化です。見える化とは、暗黙の了解になっているやり方や考え方、判断基準を、誰が見てもわかる形に整理することです。
たとえば――
見積書は〇日以内に提出する
クレーム対応は上司に必ず報告する
社内のチャットは○時間以内に返信する
有給休暇の申請は〇日前までに行う
こうしたルールがきちんと整理されていると、社員は「自分は何をすればよいのか」「どこまで自分で判断してよいのか」がわかります。
その結果:
余計な気遣いが減る
誰でも同じレベルで対応できる
トラブルが起きにくくなる
教育や引継ぎがスムーズになる
つまり、「安心して仕事ができる土台」ができるのです。
特に若い社員や経験の浅い人にとっては、「これで合ってるのかな?」と迷わずに、「これをこの手順でやればいいんだ」と思える安心感はとても大きいものです。
行き過ぎた見える化は“マイクロマネジメント”になる
ただし、ここで注意が必要です。
見える化が進みすぎると、「息苦しいルールだらけの職場」になってしまう危険があります。
たとえば――
「お客様の前では3回お辞儀をすること」「電話はコール3回以内に出ること」「議事録は3時間以内に提出すること」
書類のフォントサイズは10.5ptで、行間は1行。フォントはMeiryoUI以外認めない
会社で出すお茶の種類をどうするかといった判断も、全て上司の承認が必要
ここまで細かくなると、社員は逆に「何をするにも上司の顔色をうかがう」ようになります。自由な発想や改善の提案も出にくくなり、言われたことだけを淡々とこなす人が増えてしまうのです。
これがいわゆる「マイクロマネジメント(細かすぎる管理)」です。
マイクロマネジメントは一時的にはうまく回ることもありますが、長期的には社員の自律心や意欲を奪ってしまい、組織の成長を止めるリスクがあります。
大切なのは「目的」と「余白」
では、どうすれば「見える化」と「マイクロマネジメント」の間でうまくバランスが取れるのでしょうか?
ポイントは2つあります。
① ルールの目的をはっきりさせる
ルールを作るときは、「なぜこのルールが必要なのか」を考えましょう。
たとえば:
ミス防止のため
顧客満足を守るため
社員が迷わず動けるようにするため
目的が明確であれば、「ここまでは決めるべき」「ここは任せるべき」という線引きが自然と見えてきます。
たとえば「議事録は3時間以内に提出」というルールは、「情報共有の鮮度を保つ」ためなら必要かもしれませんが、「きっちり3時間で出さないと怒られる」という運用になると窮屈です。
② 余白を残す
すべてを決めすぎない「余白」を残すことも大切です。
たとえば:
「原則〇日以内だが、やむを得ない場合は上司に相談」
「基本の型は示すが、表現は個人の工夫を許す」
「判断に迷う時は、気軽に相談してよい」
こうした余白があることで、社員は自分で考え、動く余地を持てます。
特にベテラン社員や成長してきた社員には、「自分で判断できる自由」がある方が、仕事にやりがいを感じやすくなります。
経営者こそ“間”のセンスを磨こう
経営とは「矛盾のバランス取り」です。
コストを下げつつ、品質も守る
売上を追いつつ、社員の健康も守る
管理を強化しつつ、現場の自由も残す
ルールの見える化もその一つです。
「決めるべきことは決める」「任せるべきことは任せる」このバランス感覚こそが、経営者の腕の見せ所です。
見える化は、社員の不安を減らし、組織の安定につながります。一方で、決めすぎは、自分で考え動く力を奪います。
「今、うちの会社はどちらに偏っているだろう?」そう自問しながら、柔らかいルール作りを進めていきたいものです。
まとめ:見える化は「土台作り」、マイクロマネジメントは「柵作り」
最後にイメージでまとめましょう。
見える化 = 広場にしっかりとした「地面」を作る
マイクロマネジメント = 広場に「柵」を立てすぎて動きづらくする
社員は、しっかりした地面の上では安心して自由に動けます。柵が多すぎると、歩くのも疲れてしまいます。
最後にこちらの曲を聞いてお別れです。
「間(あいだ)」の感覚を持ちながら、次回以降もいろいろなテーマを掘り下げていきましょう。



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