自社の色に染める、ってどういうことなのか?相手の色がない前提は変ではないのか?
- hi-perda
- 8月15日
- 読了時間: 4分
こんな方に読んでほしい!
◎静岡市近郊で営業中
◎従業員数51名以上
◎活気ある職場づくりを通して業績アップにつなげたい
◎ご年齢が30-50代の代表者様
◎採用を検討中の皆様
こんにちは。社会保険労務士の杉浦です。
採用の現場で、よくこんな言葉を耳にします。
「うちは、入った人を自社のカラーに染めていくスタイルです」「あの人、どうもうちの色に合わないみたいで…」
一見、何の違和感もないように聞こえる言葉です。ですが、よく考えてみると不思議なことを言っていませんか?
“自社の色に染める”ということは、相手に色がないか、あるいはその色は一旦消してもいい、という前提があるようにも思うわけです。今回はそんな疑問について考えてみます。
人には、それぞれ「色」がある
私たちは誰しも、生まれてからいろいろな経験を積んできました。
性格、価値観、話し方、考え方、好き嫌い、人との距離感――これらすべてが、その人なりの“色”を作っています。
「この人は明るい人だな」「なんとなく落ち着いてる雰囲気がある」「芯の強そうな人だ」
そう感じるのは、まさに“色”があるからです。
だからこそ、「何物にも染まらない人間だ」と言われるような人がいたとしたら、それは強烈な色を持っているということでもあります。
色とは何か?――比喩をもう少し具体的に
人や企業の「色」という言葉は比喩的に使われ、分かるようで分からないような便利な言葉でもあります。
あらためてこの「色」とは何を指しているのでしょうか?抽象的な表現になりやすいからこそ、少し分解して考えてみます。

色=「価値観+行動傾向+感情的トーン」
色とは、その人や組織の性質や傾向を示すラベルのようなものです。心理学的には、以下のような要素で構成されると考えることができます。
価値観 何を大切にし、どういう判断基準で物事を見るか。 例:成果重視、チームワーク重視、スピード優先、安全第一…など。
行動傾向 どういうふうに動き、関わるか。 例:率先して発言する・慎重に観察する・細部まで確認する…など。
感情的トーン その人や組織が周囲に与える感情的な雰囲気。 例:明るい・ピリピリしている・どっしりしている・おっとりしている…など。
これらが混ざり合ったものが、俗に言う「色」にあたると言えそうです。
企業にも“色”がある
個人だけでなく、会社にも“色”があります。
体育会系で熱血な会社
落ち着いていて慎重な会社
家族的で温かい会社
成果主義でスピード重視の会社
その会社の文化、歴史、経営者の価値観、社内の空気感――それらが混ざり合って、独自の“色”になっていくのです。
では、採用した社員を「自社の色に染める」ということは、どういう意味なのでしょうか?
染めるというより、「調和させる」こと
ここで改めて考えてみたいのが、人の色と会社の色の関係性です。
仮に、新しく入った人が“青”っぽい人だったとします。会社のカラーが“赤”だった場合、その人を真っ赤に染めようとするのは、どうでしょうか?
青は消えて、赤に変わってしまう。でもそれは、その人が持ってきた経験や価値観を失わせることかもしれません。かなりの痛みを伴う作業の用に思います。
一方で、青と赤が混ざれば「紫」になります。それは、これまで会社に存在しなかった色かもしれません。新しい色が混ざることで、会社の文化が豊かになったり、見えなかった課題が見えてくることもあります。
つまり、「染める」というより、“調和する”とか“混ざり合う”という考え方のほうが、これからの組織づくりには合っているのではないでしょうか。
経営者の役割は、「色を白くして、塗る」ではなく「色を引き出すこと」
経営者としてしても良いことは、新しく加わるだろう人の色が、自社と近いかどうかを見極めることです。逆に、避けた方が良いのは、新しく加わった人の色を消すことです。
さらに発展して言えば、これからはその人がどんな色を持っていて、どうしたらその色がチームと良いバランスをとれるかを見極める力が求められます。
ときに、それは周囲との摩擦を生むこともあります。でも、違う色が混ざり合わなければ、新しい色は生まれません。
「うちの色に染める」ではなく、「あなたの色をどう活かせるか一緒に考えよう」という姿勢が、これからの時代の組織づくりには必要なのではないでしょうか。
まとめ:染めるか、重ねるか
今回のテーマで見えてきたのは、「人も会社も、それぞれ色を持っている」という前提に立つことの大切さです。
採用の場面では、つい「合う・合わない」で判断してしまいがちですが、それは相手を一色に塗り替えてしまう危うさも含んでいます。
その人がどんな色を持っているのか?その色は、うちの会社にどんな影響をもたらすか?
そう問い直すことで、「自社の色」という言葉の意味も、もっと深く、豊かになっていくと考えます。



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