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1年単位の変形労働時間制、中途入退社の方の処理正しくできていますか?

  • 2 時間前
  • 読了時間: 4分

こんな方に読んでほしい!

◎静岡市近郊で営業中◎従業員数51名以上

◎活気ある職場づくりを通して業績アップにつなげたい

◎ご年齢が30-50代の代表者様

◎1年単位の変形労働時間制を採用している

◎土曜日勤務がある


こんにちは。社会保険労務士の杉浦です。

「変形労働時間制」とは、忙しい時期と暇な時期がある会社で、年間を通じて平均すれば1週間の労働時間が40時間以内なら、月や週の労働時間を変えてよい仕組みです。

具体的には、繁忙期に1日9時間、閑散期に1日7時間、というように年間の労働時間の合計を調整することができます。これは労使協定を結び、労働基準監督署に届け出ることで利用できます。

この制度を使うことで、人手が必要な時期に労働力を柔軟に確保しながら、年間の労働時間が法律の基準(週平均40時間)を守ることができるのです。

しかし、途中で入社・退社があるときは注意が必要です。


1年単位の変形労働時間制を運用していると、年間カレンダーに基づいて賃金計算をするため、年の途中で入社・退社がある人についての割増賃金の考え方が特別になります。


例えば、1〜6月は1週間平均45時間になるような繁忙期パターン、7〜12月は週平均35時間の休日多めパターン、と設定している会社があるとします。この制度はあくまで1年間を通して平均すれば40時間以内に収まるという考えです。

しかし、年間予定が完了する前に退職してしまった人や、年間カレンダーの初めから入社したわけではない人については、勤務した期間だけで計算すると「週平均40時間を超えて働いてしまった」扱いになることがあります。そうすると、法律上、その超えた時間に対して割増賃金の支払いが必要になります。

このルールは労働基準法第32条の4の2に規定されており、多くの会社で見落とされがちです。


入退社のある人の割増賃金の考え方(簡単計算例)

1年単位の変形労働時間制における、途中で入社や退職をした場合の賃金精算について解説します。

◎計算の公式

精算が必要な時間は、以下の手順で計算します。

  1. その期間の労働時間の上限を出す 式:40時間 ×(その期間の暦日数 ÷ 7日)

  2. 実際に働いた時間と比較する 式:実際に働いた時間 - 上限時間 = 精算が必要な時間

  3. 支払う金額を計算する 月給制の場合、基本の100%分はすでにお給料に含まれているため、追加で支払うのは「割増分の25%」のみとなります。

◎計算の準備:1時間あたりのお給料(単価)

月給220,000円の方が、年間休日105日の会社で働くケースで考えてみます。

ますは、1時間あたりの単価を計算します。

  • 年間の労働日数:365日 - 休日105日 = 260日

  • 年間の総労働時間:260日 × 8時間 = 2,080時間

  • 1ヶ月平均の労働時間:2,080時間 ÷ 12ヶ月 = 173.33時間

  • 1時間あたりの単価:220,000円 ÷ 173.33時間 ≒ 1,269円


◎具体的な計算例

#ケース1:中途入社(2026/4/1入社)


2026年4月1日から12月31日まで、200日働いた場合で計算します。

  • 期間の暦日数:275日(4/1〜12/31)

  • 上限時間:40時間 × (275日 ÷ 7日) = 1,571.42時間

  • 実際に働いた時間:200日 × 8時間 = 1,600時間

  • 精算が必要な時間:1,600時間 - 1,571.42時間 = 28.58時間

  • 支払う金額1,269円 × 0.25(割増分) × 28.58時間 = 約9,065円

#ケース2:中途退社(2026/7/5退職)

2026年1月1日から7月5日まで働いて辞めた場合で計算します。

  • 期間の暦日数:186日(1/1〜7/5)

  • 上限時間:40時間 × (186日 ÷ 7日) = 1,062.85時間

  • 実際に働いた時間:135日 × 8時間 = 1,080時間

  • 精算が必要な時間:1,080時間 - 1,062.85時間 = 17.15時間

  • 支払う金額:1,269円 × 0.25(割増分) × 17.15時間 = 約5,441円

なぜこの精算が忘れられるのか?

多くの会社では、変形労働時間制の年間カレンダーに従って1年分の労働時間を管理し、そのまま月次計算して賃金を支払っています。年の途中で入退社があると、勤務期間だけで見れば週平均が40時間を超える可能性があり、法令上は“割増の清算”が必要になりますが、月次集計だけでは気づかないケースが発生しやすいのです。

特に、次のような状況では注意が必要です:

  • 繁忙期中心で途中退社した

  • 閑散期中心で途中入社した

  • 年度途中で勤務パターンが変わった

こうした場合、割増の精算をしないと、後から労働基準監督署から指摘を受ける可能性があります。

精算のタイミングは、入社した人ならカレンダーが終わる日が含まれる給与計算期間に、退職した人なら退職時に支払えればOKです。


まとめ:見落としがちなポイント

  • 1年単位の変形労働時間制は、年間で平均40時間を守る仕組みである。

  • 年の途中で入社・退社した人は、勤務期間だけで平均労働時間を計算し、超過分について割増賃金が必要になる可能性がある。

  • 多くの会社がこの計算を忘れがちなので、特に注意して管理する必要がある。


正しい運用ができているかどうかは、労務管理の信頼性と、従業員との信頼関係にも直結します。ぜひ一度、カレンダー設定と入退社者の割増賃金清算の方法を見直してみてください。

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